鰻ターン① (彌砂)

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それに、放っておいてもいつか捕まって、蒲焼エンドを迎えるかもしれない。 それならば―― 「それでも……私は人間になりたい!」 魔女はニヤリと笑うと、手にしたステッキを翳した。 黄金色に輝く光と渦が私を包んだ。 「きゃ……!」 私は渦に巻き込まれ、どんどん湖の水面へと上昇していく。 「ククク……面白くなりそうだ」 魔女の言葉を最後に私の意識も黄金色の光と共に薄くなり、そして閉じた。 「……ん」 次に目覚めると、そこは既に水の中ではなかった。 「…………」 なにやらフカフカとしたものに私は身体を横たえていた。 恐る恐る初めて得た手を動かし、眼前に翳す。 黒でもなく、銀でもなく、ぬめってもいない。 肌色だ。 そのまま頬に触れるが魔女のように鱗もないようだ。 頭に触れれば髪も生えている。 私であって、私ではない感覚に呆然としていると、突然声が聞こえた。 『無事に人間になれたようだね』 ビクリと身体を強ばらせ目線だけを動かすが誰もいない。 『私の声はお前にしか聞こえない。まずお前にはやるべき事がある』 「やるべき事?」 『服を着るんだ。そこに置いてあるだろう。好きなものを選べ。身につける方法はわかるはずだ』
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