王子ターン① (佐藤すみす)

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月光に奴の刄が煌めく。 「そこかっ! 」 ダガーを放てば案の定、飛び退いた気配。 ── 決めてやる! 背に隠した抜き身の剣で瞬時に奴の着地点を薙ぎ払った。 が手応えが無い。見誤ったか。 気配は……後ろ! 剣の遠心力を殺さず真後ろまで振り抜き、身体を回転させながらすくい上げる。 !! 微かな手応え。 だが、せいぜい髪の先数ミリを落とした程度だろう。逃したか? 「くっくっくっ」 闇に紛れ、密かな笑い声が……。 ── 何処だ。 何処にいる ミサ!!
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