俺は特撮ヒーロー?×私は少女漫画ヒロイン?

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とある年のとある日。 とある町のとある家の前で、男女は言葉を交わした。 「おはよ」 「はよ」 男の方は、宮野拓海。手にはブックカバーをかけた本を持っている。 女の方は、藤城真咲。手には大きな紙袋をふたつも持っている。 「拓海、読んだよ」 真咲は拓海にひとつの紙袋を渡す。 「ど、どうだった?」 「面白かったわ。でも、絶対!こっちの方が面白いから、見なさい!」 もうひとつの紙袋も拓海に渡す。 「わーったよ」 「仮面ラ○ダー電王の、主演はあの〈カノジョは嘘を○しすぎてる〉の佐藤健くんだよ!!しかも、まだ十代なのよ!見なきゃ損だよ!」 「まさか、真咲!?貴様、少女漫画原作のアニメとかドラマとか実写映画とか、そういうのを先に見やがったか!?」 「なにか、問題でもある?仮面ラ○ダーWの菅田将暉くんは〈溺れ○ナイフ〉とか出てたじゃん!!」 「この特撮のイケメン俳優好きめ!先に原作を読め!ドラマとか映画とか、大概の作品のイイトコだけ抜き取っただけのつまらないやつなんだよ!原作はもっと盛り上がってんだよ!それをちゃんと見ろ!」 「特撮のイケメン俳優だけが好きなわけじゃないわよ!話が面白いんじゃないのっ!仮面ラ○ダーと仮面ラ○ダーが戦ったりとか、泣けるんだからっ!仮面ラ○ダーエグゼイドのゲンムの社長とか性格クズすぎるからっ!見た目だけじゃないのよ!」 朝から住宅街で己の好きなものこそ、奥義で正義だと思う、拓海と真咲。 くだらなすぎるケンカが繰り広げられる。 そう。ふたりは残念すぎるオタクだった。 宮野拓海(♂)は少女漫画をこよなく愛す、少女漫画オタク。アニメ化、ドラマ化、実写映画化など、原作を悪くすることを嫌う、生粋のオタク。 藤城真咲(♀)は特撮をこよなく愛す、特撮オタク。子供と共に見ている主婦と違って、イケメン俳優メインで見るのではなく、話の内容に涙するほどのオタク。 幼なじみの拓海と真咲はお互いの趣味を押し付けあうのが、高校生になってから増えた。 「戦○ヒーローものなら、ゴセイジャーの千葉雄大くんとか〈黒崎くんの言○なりになんてならない〉に出てたんだから!みんな、特撮がはじめで売れ始めてるのよ!特撮こそ正義!!そうに決まってるじゃない!」 「いや、少女漫画こそ奥義!!少女漫画が世界の少女たちに夢を与えてる!恋愛とか、夢とか、すべての夢は少女漫画から生まれている!」
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