死神の能力と愛について

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 キャンパスの南側にスィーツの美味しいカフェがある。人気店だが運良く広いテーブル席に空きがあり全員座れた。  ジオスは私の後ろの物置き用の椅子に腰掛け、足が長いので窮屈そうに組んでこっちを向いている。 「好きなの食べていいよ」  私は一度死んだ身なので宵越しの金に未練はない。みんなラッキーだと喜んで、ケーキセットを注文した。 「なんなのツグミ」  みんなに恋について、アンケート調査をしていると言ってあった。実際そうなので、嘘をついて集めた訳ではないよ。 「卒論のテーマ。恋愛論にしようと思ってるんだ」 「そーなんだ。ツグミらしいね」  友梨と茜はケーキを食べながら笑っている。私はこの一年で三回程恋をして別れて、尻軽女の真骨頂だと、今となっては笑って言えるぞ。 「あのイケメンの先輩とも別れたんでしょ?」 「アイツ、悪だって評判だったんだよ」 「そ、そうなんだ」  ちょっと、もっと早く言ってよ。こっちはレイプされて自殺までしたんだからね。しかし私はその話題には触れず、コホンと小さく咳をしてから話し始めた。 「私は恋が終わった時に思うんだけど、なんであんな好きになったのかと不思議な感じになる。生物は繁殖の本能が強いけど、人間は理由もなく人を好きになってないかな?」 「そうねー。見た目ってのが基本あるね」 「私も、カッコよさで一目惚れしてるかも。ある種の依存症だわ」 「ツグミは恋の熱にうなされるタイプだよね」  友梨がそう言って茜と笑った。私はスミス教授が病気だと友梨に話そうかとジオスを見たが、ジオスは首を横に振っていた。きっと死神は自慢げに予言はしないんだろう。 「それよりも恋愛考察ね?」とジオスにアイコンタクトしてから、カップルの方へ視線を向けた。 「容姿の趣味はそれぞれだけど、長続きするかは付き合う過程にあるよね?最長記録保持者のそっちのカップルはどうなの?」 「私たち、高校生から付き合ってる。一緒にこの大学受たから」 「もしどちらかが落ちてたらどうなったと思う?」 「友梨。それ意地悪な質問」 「だって、私そのパターンだもん」 「えっ?初めて聞いたよ」  友梨と茜の話が長くなりそうなので、私は最重要課題をここで質問した。
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