プロローグ・志望動機

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 小学生の頃の作文『将来の夢は?』というタイトル。子供ながらに何でそんなこと書かせるんだろうと不思議に思った。  それは大学生になってからも何も変わらず、漠然と文学部を専攻したので、将来の希望職種を聞かれてもはっきりと答えられない。コレだという、自分のピースが当てはまるパズルが見当たらないのだ。  先生、医師、アナウンサー、歌手、モデル、YouTuber、オリンピック選手?(笑)……夢と希望に胸を膨らませても現実が違うことくらい、しっかり目を開けて未来を覗けばすぐに分かることである。 「それでジオス。どうしてなの?」  私は目の前にいる北欧の氷の王子様みたいな背の高い男に質問してみた。  ジオスは青みがかった銀髪の長い髪を細い指ですくい上げて、困ったように薄い唇の口角を上げて微笑みを漂わせている。  瞳は深い青緑で、目が合っただけで凍りそうなくらいゾクゾクっとした。 「だっていくら転職の自由があると言っても、それは変じゃないですか?」 「そうかな?」 「そうよ。バッカみたい。なんで死神が天使に成りたいなんて思ったのよ?」
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