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過去の恋愛事情
「どういうつもり?」
私は窓側のテーブルの上に腰掛けて入って来た紀人を睨み、ジオスは私に微笑みかけ、元恋人の中間に立って恋の審判員を務めるつもりだ。
「面白くなりそうだな?」
「ジオス。恋のお勉強なんだよね?」
「もちろんだ。こいつがゲイだとして、なぜツグミを選んだか気にならないか?」
「そ、そうね……」
私がブツブツ喋っているので、紀人が変に思って警戒している。ジオスの存在を多少は異様な雰囲気として感じ取っているのだろう。
「ツグミ。何を言ってるんだ?頭が変になったか?」
私はそう言われて、笑い出しそうになり口を両手で押さえた。自殺まで追い込まれた男に笑顔を見せたら、ほんとに狂ったと思われかねないからね。
「まさか、チクルつもりじゃねーだろうな?マジでネットに晒すぞ。それだけじゃない。俺の友達がまた何をするかわからねー。それが心配なんだ」
「ふーん」
私は一度死んだ身。脅されようが怖い物なんてない。
「ところで、紀人ってゲイだったんでしょ?」
そう言って、笑顔を封印して最低な元彼を睨み返した。
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