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「な、なんだよ突然。バカ言ってんじゃねーよ」
紀人の笑顔は引き攣り、ズバリ指摘されて動揺しているのが表情に出ている。
『しかし何故気付かなかったんだろう?』
恋に浮かれ、そしてうなされていた私が単なる間抜けだったのか?
レポートに書いた一文を思い出し、私は真剣に紀人との関係を分析した。
・そもそも恋愛が不安定・不明確なのが人間界を混乱させている原因なのではないか?
・私のような哀れな被害者を出さない為にも重要事項である。
「変だとは思ったんだよね。キスまでしかなかったし、アソコは完全に硬くなってなかった」
私は抱かれた時の紀人の股間の感触を思い出して、『アルデンテ』……パスタならいいけどと笑いそうになる。
「いや、お前がセクシーじゃなかったから、その気になれなかっただけだ。いや硬さって、何言ってんの。今日のお前、マジで変だぞ」
「ねっ、私を好きな時ってあったの?それとも最初から友達の餌食にしたかっただけ?もちろん私は恋をしてた。ルックスだけじゃなくて、紀人の優しいところも好きだったんだ。あれ、全部嘘なの?」
私がそう言うと、審判のジオスが動き出し、動揺している紀人へ近付いて、会議用のテーブルの方へ押し付ける。
『拷問して白状させるつもりか?』
さすが死神。やはりやる時はやるんだと私は今更ながら驚いた。
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