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魔女の登場
中指を立ててエスカレーターをゆっくりと上がって行くが、そんな警告をこの三人が素直に聞く筈がない。
永井と山口と松嶋はエスカレーターに飛び乗って下から女の後ろ姿を眺めている。
それをサングラスの女性はチラッと振り返って睨んだが、めんどくさそうに舌打ちして先を急いだ。
会議室ではジオスに羽交い締めにされた紀人の目の前で、都組がカッターナイフをチラつかせながら変顔をして脅かした。
「ツグミ、完全に壊れてるな?」
あまりの狂ったような演技にジオスが笑ってそう言ったが、都組は更にエスカレートして手首の傷痕を見せつけ、舌でそれを舐めながら白眼を剥いてカッターの刃先を下に向けて指で摘んでぶらぶらさせた。
「これと、おんなじようにしてやるよ〜」
「や、やめろ。頼むからやめてくれ」
紀人は身動きができず震えていたが、ジオスは都組の顔が可笑しくて手を緩めてしまう。
それでやっと紀人はズボンを上げてテーブルの下に潜り込んだ。
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