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私が自殺しようとした理由。思い出すと、血が減った筈なのに顔面が真っ赤になり、また死にたくなるくらい恥ずかしかった。
『穴に入りたいってのは、こう言うことか?』
ジオスは数時間前からそれに気付いていたらしい。死神は人間の脳が発するマイナス波長と、毛穴から発汗する死の匂いを敏感に察知するらしい。
「あんな男に騙されるとはな?」
「なによ。その言い方。自殺した直後の哀れな女性に言うことかね?」
私は嫌味っぽくジオスに毒づいた。正直、自分でもその自覚はあるので、逆の手首も切りたくなるくらい自己嫌悪を感じる。
「そりゃ、ちょっと見かけがカッコイイからって騙された私がお馬鹿さんですよ。だからそのまま死なせていただければ良かったんです~」
「まー、そう言うな」
ジオスはちょっと困って「正義を押し付けるつもりはない」と苦笑いした。たぶん死神として流儀に反すると、少しは反省してるのだろう。
「それのもっと前に助けてくれるなんて事はできなかったんでしょうか?」
「レイプされる前ってことか?」
「そうよ。集団レイプされる前ってこと」
私は彼氏だと思って付き合い始めた男の手引きで、彼の部屋で三人の男に強姦された。しかもその彼は打ちひしがれている私の目の前で友だちと金銭の授受をしていたのだ。
超イケメンで人気のある大学の先輩。ちょっと優しくされたたけで私はそんな男に恋をしてしまった。
私のそのショックたるや。涙と痛みでボロボロになった私はタクシーに乗り、一人暮らしのマンションの部屋へ逃げ帰った。
そしてふらふらとバスルームへ行き、手首を切って自殺した。つまりこんな間違いさえ起こらなければ、湯冷めする頃には風と共に去りぬだったのである。
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