51人が本棚に入れています
本棚に追加
しかし、それはそれだ。互いに向かい合い、正対した相手である所の━━酷く不機嫌さが前に出ている━━、ギルバートの台詞まで嘲りはしていない。
「あれあれ~~? まさか貴方も入学式ボイコットですか、ギルくん?」
「あだ名を付けるな」
「略語ですぅ♪」
「尚ダメだろ」
呆れた声音で、しかし視線は星純を射抜いて外さない。ギルバートの険悪な目付きは、元々の悪さも合間って随分鋭くなっていた。
おまけとばかりに、あからさまな敵意まで込めて。こんな視線を貰う心当たりは、まあ無くもない。
「そんなに睨んで、何か用?」
「用事という程ではない。ただ姿が見えなかったからな」
確認を兼ねて、と。そう告げるギルバートの声音は、至って普通の音色だ。
感情の乱れている感じがしない。けれど、星純の感じ取る敵意は間違いようが無いし、眼光も尖ったまま。5メートルと離れていない距離が、また妙に生々しい。
最初のコメントを投稿しよう!