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星純は少し、気取ったように肩をすくめて。
「それはそれは。悪かったな」
警戒を解く素振り。続けて、両手をポケットに入れながら。
「で、何だギル? わざわざ探し出してまで会いに来た理由は? 」
「━━ああ。勿論」
わざとらしく、あだ名っぽく言ってしまったのが悪かったのか。
ギルバートは端的に、片手間みたいに返事を返し、片手間みたいに腰へ手をやった。革製ホルスターをぶら下げるベルトの、背中側。
流れるように、音もない。鈍い閃きが奔る。
━━ガギンッ
「……危ないですね~~、全く」
閃くのは二つ。煌めく両刃の暴力と、それを受け止める純粋な技量。
リリーの大剣と、ギルバートの斧がかち合って、星純の目先で火花を散らす。色々と、込められた情念が立ち現れるように。
「貴様を粛清する。それが私の義務で在るがゆえに」
憎悪か、嫌悪か。いずれにしろ、あまりに明確な、明文化された敵意ではある。
殺気をすら孕んだ。また随分と、嫌われたものだ。
だからと言って、悪びれるつもりもないけれど。
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