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少なくとも、それなりの修羅場は潜っているのに。死ぬことが日常の、殺される事が茶飯事な、あの腐臭漂う巷の中を。
「ナメられたもんだ」
「はい?」
「なんでも無いよ」
星純が穏やかそうに告げて、そうしてからチャイムがなった。
ごぉん、と。荘厳な鐘の音が、何かひとつの区切りを伝えているよう鳴り響く。
「入学式が終わったようです。では、戻りますか」
リリーがくるりと身を翻す。警戒は依然として張り続け、曲がり角にも気を配るよう。
星純は、その後ろに続く。厄介な事になったと呆れる前に、ちょっとだけ、ほんのちょっとだけだ。
まるで懐かしい、不穏な空気を独善的に感じる。暴力と、謀略と、どす黒い感情の気配を感じ。
星純は、少し笑んだ。
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