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けれどまぁ、今更嘆いても仕方がない。石は転がってしまっていて、もう止めることも出来ないのだし。
起きてしまった事に、グチグチ言うのは性に合わない。星純はパンと取り合わせのスープを口に含んで、そっと息を吐く。
こういう人生なんだなと、諦めるように。けれど、それでも人生というやつは続いていくわけで。
「ワルい、ちょっと正面借りる」
そしてこうして、唐突な出会いもある。人生の妙、奇っ怪なからくりではあるが。
「えっ…………と。確か、レオンだったか」
「なんだ、前髪ちょんまげ。覚えてたなら都合がいい」
ふさふさとした毛並み、荒々しく波打つたてがみ、三つ編みの。隆々とした筋骨が制服を圧迫し、その風体から窮屈そうにも見える。
鋭い眼光、獣眼、口許から覗く鈍い牙は物騒な面持ちを返し、見てくれは完全に〈械獣〉機ライオンのそれ。けれど、彼は二足歩行だった。
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