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そこまで心情はダダ漏れてない筈なのに。こうして誰にも心根を読み解かれる事態は、もはや隠し事を看破する魔法があるに違いないレベルだ。
と、そんな怪訝もしっかり顔に出ている星純を、レオンはまじまじと眺めている。不思議なものを見るような目付きが、しかし片目を眇たおかげで、鋭利な眼光がよりきつくなっていた。
「なんだ、存外楽しそうじゃん」
「はあ? 何処に目をつけてその結論?」
「ええ!? ネルが隣にいながらそれぇ!?」
「隣に居るからだよバカ野郎!」
「……まぁ見たまんまだ。これが〈四大名主〉に喧嘩を売った男だと思えない」
レオンは半ば呆れ気味だった。どうしようもなく感じると同時に、しかしどこか愉快な調子でもある。
と、いうことは、そういう事なのだろう。知っていて、どういう状況か把握していて、このライオンは真正面に座っている。
こっちの心情までお見通し。わざわざ好きこのんで、一人きりのテーブルを演出している訳じゃない。
「部外者からしたら、巻き込まれたくないものな。今後の出世に響いちまう」
「売ったんじゃない、売られたんだ」
「事実は関係ない。過程はどうあれ、敵対する相手がグラン家なのが問題なんだ」
━━そう、まさにその通り。こいつも隣のこいつらも、よくもまあ理解が行き届いていやがる。
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