第2章

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「そりゃそうだろ。数字だけで人様の心情なぞ分かるか。いかに優れてようが変態は変態だ」 「……え? ニィやんなんでネル見てんの」 流れ的に当然である。 「しかしでふね、もしもそれが分かればどうなりまふか? 目で見て声を聞いて、言葉を交わして人物評を確定できるのならば、星純くんはどんなヒトを採用しまふか?」 「んなもん、きっちり心根まで優秀な連中に決まってる。でもそれが分かるような仕掛けは…………、あ」 「そうでふ。それが門番さんの役目と、面接重視の役割でふ」 語るに落ちたような気がする。リリーは言っていた。 熟達した〈魔法士〉ならば、一目見ただけで相手の属性まで看破できると。〈PhaZ〉そのものを見極め、そして相手を見極めて。 その観点が、別の位相に移ったらどうなるのか。属性ではなく、もっと深層に立ち入る視点を持っていたとすれば。 魔法は結局、〈PhaZ〉としての反応を返すなら、深い人の心情を読み取ることは出来るのではないか。 「それは“魂”を見る、という行為らしい。その結果、ギルバート・S=グランはある種の鉄壁、歴代の中でも指折りの高潔さを持ち合わせた男と評価されたそうだ。〈PhaZ〉の操作性や拡張性も、同年代なら群を抜く」 そう、レオンが引き継いだ言葉に、星純は妙な納得を覚えた。ギルバート、よく知りもしない相手だけれど、接して分かる実績がある。
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