第2章

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あえて言い表すなら、好青年とか正義漢だとか。サシャの件もそうだし、今回の出来事もまた、ギルバート自身の義侠心から来ているのかも分からない。 あるいは、義務感か。名家として、〈四大名主〉とやらの看板を負う者として、自分に課す務めを全うする為に動く。行動原理が真正直なことこの上ない。 「なるほど。どうやら奴さん、身も心も身分も清々しいほどに成功者だな。笑けてくる」 いや、まじで。 そんなド直球の清純派ヒーローがこっち、ただのスラム上がりな悪ガキに生ぬるい云々を言って寄越したのならば、それこそまさしく皮肉が利いてる。トクサツセンタイとか言う、『ソドム』のガキんちょに人気のコンテンツと同じとは。 まるで正義の味方気取りで、こっちはヒールも良いところ。向こうも本気で言っていたのだろうし、裏表の意味で言えば、悪気が無かった訳になるし。 だったら、答えは明瞭だ。決まってる。 「和解する気はあるか?」 「無いな、全く」 「即答かよ……」 一切の俊巡もなく応える星純に、レオンの顔が引きつった。恐らくこれが、和解させることがレオンなりの目的だったのだろうけど、御生憎さま。
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