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用意された筋書きは只の一つきり。投げて寄越したのはギルバート。受けて立つのはこの身空。
ならばしっかり演じてやらないと、それこそ野暮というものだ。古今東西、この手の話は何処にでも存在しているのだから。
自称ヒーローと、自称ヒールの殴り合いというものは。
「アテが外れて悪かったな。無駄骨までさせちまって」
軽く肩をすくめて見せて、星純は素直に謝る。レオンは目頭を軽く押さえ、苦労人っぽくため息を一つ。
「まぁ、仕様がない。こっちもお節介が過ぎ「えぇ~~! ネルには無いのそーゆー謝罪! せっかくここ一番で働いたのに! ノーギャラなのにッ!!」」
こういうテンションの上書きは、多分こいつのお家芸なのだろう。無理やり割って入るネルに対して、星純は辛辣になる以外の手段を取れない。
「お前のはお節介でも無ければ有り難くもない、純度100パーセントの迷惑だからな。正直何言ってんの? って感じ」
「ニィやん酷い! ドイヒーだドイヒー!!」
「用語を使うな」
「ザギンのチャンネーパイオツカイデー!!」
「皆まで言うな!」
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