第2章

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レオンは、そのペンを取りながら言った。 「サインくれ」 「…………………………え?」 「ジパング語で頼む」 「……………………………………………」 若干、目の輝きが見えなくもない。黒いたてがみから飛び出す、尖った両耳もしきりに動いてアピールしてる。 わくわくが滲み出ている。もう、そりゃあもう、これでもかというくらいアリアリと。だからわざわざ、ご機嫌に振れる尻尾の動きまで、星純は目で追わなかった。 そして意識は、たったいま別の事実を知覚。 最後に残していた筈の、木の実入り焼きたてジューシーパンが今、ジャッキーの口に吸い込まれていく。
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