第2章

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バイカー風の、というか完璧バイク乗りスタイルなライダースーツとジャケット、赤いスカーフに身を包み、女性が一人で空から降りてきた。 というより、落ちてきた。 『喧嘩はいけないよ! 青少年たちィ!』 と、言い分はまともなのに訳の分からない状態の彼女を、ハチは瞠目しながら見つめていた。龍二郎はもちろん、微笑みながら。 『いやいや、喧嘩じゃないよレディ。男同士の語らいさ』 『それを世間では喧嘩というんじゃないか! うら若い青少年達が! 人気のない廃墟でイチャイチャと! なんとけしからん!』 『イチャイチャはしてない!』 ハチが声を張り上げる。やおいには気を付けろとは、我が兄の弁である。 意味はミツに教えて貰ったけど。 『あ、間違えた! 羨ましいなチキショー!』 『羨ましいことではないよ!?』 『えぇ? そんな馬鹿な。じゃあこの僕のドキドキは一体……』 『してないよ! 発作だよたぶん!』
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