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そんな、ハチの年頃なムッツリを尻目に、龍二郎と女性とが何やら話をしていた。ハチに聞こえない声音で、二言三言。
何をしているんだ、とも言えないハチ。やり場に苦労する視線もあるけど、録に名前も知らない人間は、警戒して然るべきだし、なによりいま、顔は赤いのだ。
『━━じゃあレディ、そういう事だから』
『了解!! では不肖、このヨルちゃんが! 早速マルチくんを連れていくとしよう!』
『え? なんて?』
そこからは速かった。自分自身で「ちゃん」まで付けて、やたら張り切る様子の、ヨルと名乗った女性は高く舞い上がる。
華麗に、くるくると回転しながら着地する先はすぐ後ろ。ハチの背後。
気付く間も無く、ハチの身体が軽々と持ち上げられる。
『え? ちょっ……』
『カモン! ライダー仮面号!』
『それなんかおかしくない!?』
ハチの抵抗も空しく、状況は目まぐるしく移り変わる。逆さまに突き刺さったバイクが唸りをあげた。
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