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目の前で、きちんとした割り当ても無くお肉が消える光景は、とても気分の良いものではない。しかし、ミツはミツで妙に納得している様子なのは不思議なところ。
「仕様がにゃいよはっちゃん~~このお肉、さっき龍二郎にゃんから送られてきたものだし。それにほら、手紙にも」
「…………『こちら、なかなかじょうとうなおニクなので、そちらのおこさまがたにもさしあげます。なお、おくれてくるとあるレディにはたらふくたべさせないとおこられます。しょうじき、ぴきりぽいんとがスゴイので、どうかよろしくおねがいします。りゅーじろうちゃんより』」
「ね? バカにしてるでしょ?」
「あ、確かに。じゃねーよ!!」
一人だけ、ひとりでにヒートアップする姿はいたく滑稽なんだろう。けれど、広々とした一軒家のワンルームはそんなハチの醜態を黙々と受け止める。
くたびれた食器棚もボロボロなぬいぐるみも子供達も、ハチとミツ以外の誰もが黙ったまま。 渦中のヨルも、不思議そうに平屋の内装を見回している。
粗雑な木組みの天井、すきま風の浸入が激しい板壁、立て付けの悪いドア。いま座っている廃材から作られた手製の特大テーブルにも視線を配り、ヨルは話の流れから半分ばかり離脱している様だった。
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