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もっとも、年端もいかないーー推定十幾つの少年にさえ勘繰られるようでは、気配を殺す仕事には向いていないだろうし。一部例外を除いては。
十三歳時点の前髪ちょんまげには、初見で看破された。なんとまあ、その初めから、煮ても焼いても喰えない輩か。
そういう意味では、こちらの少年少女ーー今は少年だけーーのほうがよっぽど可愛らしい。子供らしい、儘ならない部分も、まだまだ許容の範囲内だ。
「…………ねえ」
「はい?」
ハチが口を開いた。顔は、恐らくまだこちらを向いていない。
どうしたんだい、と。龍二郎もまた、振り返らずに返す。
「どうしてアンタは、オイラ達に構うんだよ」
「もちろん、君たちの為だけど?」
「嘘だ。兄ちゃんは『龍二郎は嫌いな友達』だって言ってた。なんか理由があるんだろ?」
「それを言って、君は信じる?」
「信じない。けど、参考にはなるし」
「なら、僕にメリットは無いね。お断り」
「ぬ……! コシャクな……!」
「それ昨日覚えた言葉?」
「う、うるせー! 良いだろ別に!!」
「まあでも、君の知りたいことなら幾らか知ってるよ。これでもハチくんよりは大人だし」
「た、例えば……?」
「そうだね、例えばーー彼と最後に何を話したか、とか?」
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