第2章

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しかもその理由が、自身でも充分に理解できてしまうあたり余計に厄介。ヨルはミツの言葉を咀嚼するよう、じっくりと後ろ姿を見遣る。 ………… そして一言。 「━━ミツちゃん、可愛いねぇ?」 「にゃ!? はにゃん!?」 おっと、心の声が。飛び上がるように振り向くミツに、ヨルは緩い笑顔をとって返す。 「いやいや、ゴメンね。脅かすつもりは無かったけど、つい」 「おど、脅かしてますにゃんそれは! いや、でもいま間違えないで名前を……」 「フフフ♪ それくらいの気紛れはレディの嗜みさ♪ だから、これも気紛れだよん」 そう、ふざけた調子でヨルが言う。そしてすかさず椅子から立ち上がるや、 「とうっ!」 気の抜けた気合いと共に。 瞬間移動をミツに仕掛けた。 「にゃ、にゃあ!?」 実際には━━確証はないけれど━━、目の前の大きなテーブルを意にも介さず、特段溜めが必要なモーションも挟まずに、お互いの距離を跳躍で埋めた様子。それら全てを、ミツには認識できないスピードで執り行った。
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