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「ハハハハ! 何をボケッとしとるのかね少年! 男の子なら元気出さないと! 主に夜半は」
「さ、最後のは要らないだろ!」
ムカつくことに、彼女はひどく豪胆だった。平屋の屋根からひょっこりと、上半身を逆さに晒してお目見えする、上機嫌なヨルの顔。
続けざま、くるりと回転したかと思えば、ハチが後退って出来た軒下の空間へ綺麗に着地する。誰も見てないのに、その美しさはかなり余計だ。風にはためくジャケットも鼻につく。
「でも君には元気が必要でしょ? バンコクん?」
「名前の原型が無いじゃないか! それに言ってることの意味も分からないし! 元気ってなんだ全く!!」
「もう、文句が多いな~~」
文句の多い原因が、自分にあると考えないようだ。この手のワガママ人間はどうすべきか。
にーちゃんは、どうしてただろうか。ハチは━━殆ど条件反射の思考で━━逡巡する。
してしまう、と言うか。ヨルはその様子に、不満足な顔付きで返した。
「全く全く。そんなんじゃあ、おねぇさんは手伝ってあげないわよ。それでも良いの?」
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