第2章

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 殆どは愚痴だった。八つ当たりと言っても良い。けれど、ヨルは何も言わない。 「家族がいるとか、大事じゃないとか……言うのは勝手だ。大人の言い方はいつも勝手だ。自分の思い通りにしようとして、他人の事を考えない……そんな大人ばっかりだったよ、オイラの、オイラ達のまわりは」 両親のことは、言わなくてもきっと分かってる。今さら顔も思い出せない、そういう役柄だったとしか思えない誰かさん。 今ごろは、何をしているのだろうか。別の子供が、その役割を押し付けられてるのなら、やっぱり可哀想だな。 「…………」 ヨルは沈黙を守っていた。守りながら、項垂れたハチの頭に手を置く。 また随分と、テンションの降り幅が大きいとハチは思った。後頭部に置かれた、手のひらの感触。 「だからさ、もう」 「オリャあああ!!」 唐突な気合い共に、ハチの頭が掻き乱された。脳内とか意識の話しでは無く、物理的に髪の毛と頭皮が。 わしゃわしゃと、ペットでも可愛がるみたいに。ハチは当然、抗議の悲鳴で応える。 「うわ! うわうわ!! ちょ、ちょっと待てこのっ……! このオンナッ!!」 「ヨ・ル・だ・よ! このハチ公め!!」
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