第2章

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「それで? 返事を聞かせてくれるかな?」 ある意味、いやらしくもあった。何の疑問も不安も無く、バカみたいに結果を信じられるのは、つまり一周回った確信だ。 バカげてる。まったく。 そして、その自信に自分が乗っかってしまうのも、また馬鹿げたはなしだ。 「━━ちゃんと、ハチって呼べ……」 ふて腐れて見えるのは、せめてもの抵抗で。しぶしぶといった感じで、ハチは右手を差し出した。 「んふ♪ 大丈夫、おねぇさんに任せなさい!」 ヨルは応えて、右手を握った。こういう常識を理解する頭があるのは良いことだけれど、握りあった拳をぶんぶん振り回すのはやめて欲しい。 お互いに分かり合ったことを確かめるのが、握手の意味なんじゃなかろうか。少なくとも、ハチはそのつもり差し出したのだけれど、今となってはもう遅い。 まずは、━━何をどう手伝うのか、アテはあるのか。色々聞きたいこともあるけど、まずはこれで一区切り。しかも、悪くはない区切りだ。 味方が、助っ人が、増えたことは良いことなのだから。 「それじゃ、明日からよろしくネ! ハッチソンくん!!」 「もう流石にちゃんと呼べっ!!」 多分、良いことの、はず。
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