第3章

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生体改造手術なり、有機デバイスの移植なりで自分の身体をアレンジしていた奴等を思い出す。腕を機関銃に替えるのは理解できなくもないけど、ケモミミに造詣を見いだす連中とはついぞ分かりあえなかった。 こっちでは、多少なり分かり合えると信じてたのに。しかしこうして、その場で取っ組み合いの乱闘になってしまう経緯を考えると、そもそもが望み薄なのかも分からない。 流石に、この時ばかりは無傷でいられず、岩だか炎だかが飛び出る魔法も幾つか喰らった。何かと火炎関係には嫌われているようだ。 そのうえ食料事情の生命線、食堂への出禁を食らう始末。まぁ確かに、食べ物を粗末に扱ってしまったのは事実だから、これは要反省。 で、だ。問題はその二日後に起こった。 「靴が無くなった」 「あらあら」 「襲撃は無いけど闇討ちが増えた」 「まあまあ」 「自前のメシに毒まで盛られる始末だし……」 「はいはい、なるほど」 「アンタは話を聞かないしなァ」 「それはそれです♪」 「んなわけあるかっ!」 昼下がり、街の賑わい。雑踏の行き交う喧騒は、入学式から数えで10日目にして、いちばん心地の良い合奏だ。 ついては、ここは学舎の中じゃ無い。星純の目に、未だその全容を見せない『グレートブリテン』の一部、バザーと呼ばれる市場の片隅であり、何より屋台なのだ。 ラーメンの、しかも味噌味の。そこそこ売れてなくもない。
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