第3章

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「いやはや、まさかセージュンくんが〈華ツ国(ハナツクニ)〉の庶民的料理を完璧に再現できるとは思いませんでしたよ~~偉い偉い!」 「それ、誉めてはいないよな」 「あとあれはないんですか? えぇっと、ぎょーぜ? しうま? てんしんはん?」 「聞いたこともない料理を並べるな」 最後の以外は。それは明確に飲み込んで、星純はスープの出来映えを確認する。 至って普通のピリ辛で、努めて庶民的。料理の腕に自信はないが、平均値の真ん中くらいには、大体のものを美味しく仕立てることは出来る。 というか、そもそもラーメンが実在していることの方が驚きではある。中華そばとか、色々言い方はあるみたいだけど。 「……で、もちろんアンタはラーメンの話をしにきたわけじゃないだろ?」 「ええ、その積もりですよ。わたしは」 「おじちゃん! ラーメン3丁プリーズ!!」 狙い澄ました桃髪の一言。ちなみに、この屋台を任されているのは星純ひとりであり、良くあるお決まりみたいな頑固オヤジも名物オカンもいない。
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