第3章

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つまり、この場合の台詞が指す人物は一人だけということだ。格好は普段と対して変わりなく、強いて言えば頭に巻いた手拭いくらいしか違いが無いのに、ちょっと露骨に過ぎやしないか。 「お前に食わせる麺は無い」 「お前じゃないよ~~ネルだよぉ~~? ニーやんもしかして死ぬのだな♪」 「人がなけなしの休日使って借金返そうとしてんだ…………無駄にキレさせんなよ?」 「アハッ☆ 自業自得ぅ~~♪」 ━━ガシッ。 「ネルん!?」 そういう不意の感動詞でも名前が出るとか。星純は呆れをとうの昔に通り越しているので、何も言うつもりはない。 その代わりと言っては何だけど、手は出てしまった。雑踏から見えない絶妙な角度で、自分の掌より一回り小さな、黄色い焔。それがネルの額を掴む。 「黙ろうなー。なー?」 「ね、ネルは暴力に屈しないのだ! 理想に生きる気高い科学者、そう! それがネぴぴぃ!!」 「二度は言わんぞ~~」
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