第3章

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自分でも、かなり極悪な面構えなのだと思えばこそ、笑みも深くなるというもの。黄色の掌はぎりぎりと力を強め、無理矢理にネルの口を塞いだ。 幸か不幸か、今はジャックもいない様子。八つ当たる心配も無いから、思い切りこの外道鬼畜ロリータを教育できる。 「なにエロいことを言ってるんですか」 「ああ? えろ? なんだそりゃ食えんのか?」 「…………青少年として色々心配になる発言ですよ、それ」 とにかく、隠してください。リリーはそう言いながら星純から伸びる掌を引き剥がす。カウンター席に腰掛けながら、暖簾で目隠しにもなっているから、後ろの雑踏に一部始終を見られることはない。 だから自前の必殺技を繰り出せた、という訳でも無いのだけれど。例え誰かに見られようが、この桃髪に対しては躊躇なく必殺技は発動するだろう。 極力、これは出さないようにと言われているけれども。言った当のリリーも黙殺しているから、今回はセーフなようだ。 「うぅ~~痛いなぁもう…………でもでもネルちゃん、今回呼ばれた理由がこれでわかっちゃったナ~~☆ミ」 「ああ?」 と、痛む頭を抱えたネルが言う。少し強く握りすぎたかとも思ったけれど、薄青の瞳は何時もと変わらず爛々としていた。
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