第3章

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「さっきの“魔法もどき”を触ってわかったよ~~まるで〈PhaZ〉が反応してない、存在が随分と不明瞭なシロモノだね☆ミ」 「それがどうした?」 「反応を返さない〈PhaZ〉が存在すること自体おかしい、ってネルは言ってるんだよぉ♪ これでもネル、アタマ良いからね(n‘∀‘)η 動きも発生も伝達する意識そのものすら、〈PhaZ〉の反応がまるで見て取れない。これ、はっきり言って前代未聞ねΣ(゜Д゜)」 そう言いながら、ネルは何事かを納得するように人差し指を顎にあてがう。何を考えているのかさっぱり分からないけれど、虚空を泳ぐ視線が忙しなく動き続けている。 この光景は何度か見たことある。自分自身を哲学者と呼んで憚らない変わり者も、似たような感覚で思索に耽っていた。 そうして弾き出される考えは、大抵星純には理解できないものばかり。けれど時たま、意表を突くような鋭い視点を投げ掛けていた。それなりに、勉強にはなったか。 この少女も、まるで同じ仕草を湛える。ならばどこまで、こっち側の有り様と卑近するのか。
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