第1章

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「…………ッ」 起きては、眠る。二度寝とか、三度寝とか。 そういう未練たらしい真似はしない。結局のところ、モラトリアムでしかないのなら、サッパリ目覚めを迎えた方が心地良い。 そういうわけで、星純はくるまった毛布から顔を出す。現在地は、未だ慣れない一人部屋の片隅だ。 一人きりで、六畳か八畳の間取り。しかもその他に部屋が3つ在って、寝室と居間と何か、と。 落ち着かないったらない。学生寮、確かに必要なシステムなのだろうけど、これでは落ち着かなくて困る。 大広間に30人強。寝息も寝相も騒々しい、あの暖かい喧騒。やっぱり、無いとかなり調子が狂う。 一時間も寝れてない。もっとも、1ヶ月の平均が30分無い睡眠時間で、これは贅沢なものだ。 その上ーー 「変な夢……だったな……………」 これは、郷愁か。龍二郎と、ハチが喧嘩する夢とは、なかなか。 心に来るものがある。ああそうか、アイツも大きくなったか。これくらいの感傷は、ひとり兄貴分として、せめて許してもらいたい。
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