第3章

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「なにシテるんですかァアあ!?」 クレアは咄嗟に真横へ飛び退く。首筋へ降り下ろされる、鈍い得物が視界に掛かったから。 「どうして……!」 体勢を整えながら、クレアは困惑する。今しがた襲ってきた当人が、ついさっきまで熱心に介抱していた彼女だったから。 けれど、その姿が異様だ。顔の形が崩壊して歪になり、幾つかの四肢が隆起して人型を保てていない。 実際、隆起に押し負け破れた皮膚から血が溢れている。体躯の上では、もう女性と呼べる部分がない。 「すんまセンねぇ。女の人ノ身体だと、調整ガ難しくって」 「ッ!!」 クレアは何も返さず、ただ大弓を打ち放つ。火属性の魔法をつがえ、瞬間に速射するのはクレアの十八番だ。 秒間3射。その矢じりはいずれも高速で分裂して狙った獲物に襲い掛かる。
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