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肉の張り裂けてしまった彼女は、大きく肥大した右手で身体を覆う。散弾となって飛び込んだ弓矢は、そのほとんどが相手に炸裂して役割を終える。
吹き飛ぶ身体。今度は殺傷力も十全の一撃に、女性の右手は綺麗になくなった。
なのに動じた様子もない。へらへらと、不気味な笑いを浮かべたままこちらを伺う。
「痛いですネぇ。「食事」のジャマな挙ゲ句、こノ仕打ち……まったく、ツイてナい」
「……食……事?」
「エェ。皆様ホントウに美味しくッて、いっぱい食べチャいました。特にそこの男性なんて、コクがあってまろヤカで」
「食べた…………?」
言っている意味が分からない。頭の中で、理解を拒む自分がいる。
食べる、と言っている。けれどここに食料らしい食料はない。少なくとも、クレアの知悉する範疇に於いて。
「……まさか…………ウソでしょ?」
「えェ。嘘でスガ」
けろりと発言を裏返す。まるで道化でも決め込むように、舌まで出して。
「ソコのおトこは糞不味かったデス」
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