第3章

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そう告げる瞬間、ぼこぼこと女の皮下で瘤が蠢いた。まるで生き物のように鳴動し、その動きを止めるまでコンマ数秒。 一秒にも満たないあわいで、クレアは何かを感じ取り。 「!!」 ━━閃光。 轟音。 圧力。 身体中を叩く暴力をもろに引き受け、クレアは部屋の壁に叩き付けられる。地属性魔法で練り上げる石壁は頑丈で、肺臓の空気は何もかも絞り上げられた。 声も出ない。意識も途切れそうになる。けれどクレアは、それを無理矢理に繋ぎ止めた。 こんな不馴れな土地で、得体の知れない相手を前に気絶することがどれ程の危険か、十分に知悉している。しかし、自分の意思で出来たのはそこまで。 身体の制動は効かず、息も出来ない肉体は、ズルズルと床に倒れ伏す。体勢の変化からか、胸の奥で込み上げるものを感じる。 勢いのまま口から吐き出すと、呼吸が戻った代わりに応分の血反吐が流れた。身体の内側からは激痛。 内臓か、骨を駄目にしたらしい。爆発の影響か、目も耳も随分不自由だ。
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