第3章

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何もかも狂っている。ひどく漠然とした、法則の様なものからしてとち狂ったような、そんな印象。 クレアは混乱していた。情景も状態も異常なのだから仕方がない。 とはいえ、さっきの爆発から何から、〈PhaZ〉の反応がないのはどういうことだ。 「さて、サテ」 「早速で悪、わるるるるいぃいんだぁけど」 囲む方の人影が動く。焼けただれ、朽ちかけた手の平に幾種類かの得物。 石の欠片、ガラスの破片、どこから用意したのか分からない骨の刃物。太ももの部分に似た一物を片手に、自分の足が付け根から欠けているその誰かは、一体なんの冗談か。 「とりあぇえず」 「君はオイシそうだ♪」 顔形も定かでない人々は、嬉々とした様子の声色を捻り出す。ボロボロと崩れかけた身体に見合う、死人のような掠れ声。 その有り様と打って変わって、各々の得物は力強く振り上げられる。何を狙って、どういう意図でのアクションなのか最早自明だ。 クレアは戦慄の表情を浮かべる。喘ぐように口を開いて、しかし言葉は出てこない。
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