第3章

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けれど状況はひどい有り様。突然の乱入に死体は幾つか削られたけど、まだ数体は無傷━━死体に無傷も何も無いが━━のままだし、そもそもが死人であるから多少の欠損は意に介さない。 事実、得物を持ち合わせていた連中はもぞもぞと体勢を建て直しつつある。手足がおかしな方向に、首もおよそ無事とは言えない状態で屈折しているのに、動けているのはどういう理屈か。 死体を操る魔法、なんていうものをクレアは知らないし興味もないが、知って損は無かったと自らの無知を後悔する。そんな時、ふと視界の隅に、自分を押さえ付けていた子供の姿をクレアは見る。 何の変化も無いように見える、ねじれた首もそのままだ。なのに、彼だけが動いていない。壁に叩き付けられ、為す術の無い状態のまま、眠ったように脱力している。 その傍らを、何か小さな虫のようモノが、駆けて消えるのをクレアは見逃さなかった。 「アは、ははッヘハ! キョウダイで仲良く助けにきっきききたつもりデスかい!?」 「アぁ……ああ、ドウシましょう! どうシましょう!! めいんデで、ディィッシゅはまだマままダ先だというぬに!」 「ああ? なに言ってんの?」 「分かりマセんぬかぇ??」 「全ッ然」
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