第3章

46/58
前へ
/614ページ
次へ
「……オードブルが、偉そうに」 「あん?」 「状況が分かっていないのはそちらだ、お嬢さん方…………メインディッシュには及ばず、“計画”もまだ先だがまぁ、いいかな」 死体の塊は静かに呟くと、長く伸びた腕を一振りする。 「ツマミ食いだ……!」 床を叩き、持ち上げた身体が、まっすぐグレイに向かってくる。見るからに鈍重で、避けること事態は難しくない。 けれどそれは不可能だ。グレイは分かっている。なによりクレアが、一番に理解している。 まだ自由に動ける身体じゃない。応急ならともかく、未だに回復は終えていないのだから。自分と肉塊を結んだ直線上に、姉は居る。 塊は勝利を確信するように、大きく裂けた口を歪めた。巨躯の勢いを借りたまま、大きな右腕はグレイへ向け最短距離を走る。 触れれば終わり、そう言われているような気がした。グレイは動けないまま、 「留めろ━━〈Aqatico〉(アクアティコ)!」
/614ページ

最初のコメントを投稿しよう!

51人が本棚に入れています
本棚に追加