第3章

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「D.I.Sに所属しているという意味でなら皆無ですね。妙な技を使うくらいには思われてるかもですが」 『件の双子以外に目撃者はいるか?』 「居ません。建物内で確認された人物は全て“同期”しました」 『貴様の痕跡もなし?』 「引っ掛けですか? 大有りに決まってるでしょう?」 グレゴールが小さく苦笑する。今しがた、慌てた様子で通りすぎた幼児がこちらを訝しげに見ていたが、すぐに視線を戻して通りすぎた。 ピンク色の髪を短く揃えて、白衣をはためかせながら。おかしな格好の子供だが、人波から外れた大男がひとりでに笑っている様子も、端から見れば穏やかではない。 「治安擾乱による戦力の分析と誘導━━ええまぁ、ですから異常性の垣間見える証拠はきちんと残してありますとも。巧妙に隠して、尚且つ見付かるように。その辺り、自分も“プロ”ですから」 『嫌なプロだな』 「いや、それほどでも♪」 『誉めてはいない』
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