第3章

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「でも実際起こってるようですし、存外あの生体ユニットも使えないですねぇ。これでも期待していたというのに」 少しばかり、冗談めかしながらグレゴールが言う。もしも目の前に劉上官が居たのなら全力で睨み付けられるだろうけど、特には気にしない。 呆れているのか、当の上官様もため息をこぼすだけだ。もう少し慎め、なんて殊勝な台詞に留めるのは、色々と思案している結果なのだろう。 もちろん、作戦の今後について。“フラグメント”の健在は今作戦の大前提だし、しかも大事をとってこちらの所領地たる〈第二○八執政府〉基幹都市『ソドム』の囲われるところに在る。 連絡が途絶える方がおかしい。なので続けざま、グレゴールは宙を見遣って疑問を口にする。なにがあったんでしょうね? 「コードネームは確か……“ヨル”でしたっけ?」
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