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「ほうほう…………大きいねぇ。これが通用口かい?」
「そう。“うちがわ”とつながってる中では、ここが一番おおきいよ」
ハチはそうして、見慣れた光景を説明する。現在地は西区、彼の“鬼”が現れた最初の場所。
そこを見たいと言ったのはヨルだ。なんとも単純明快に、その最初を見たいと宣って。
キミの、恩人が戦った場所を見たい、なんて言って。けれどそれは、道筋で必要な行程だったりする。
一通り大門を眺めながら、ハチはヨルの手を引く。「じゃあ、こっちだよ」と言ってそれなりに見知ったジャンク屋へ足を向ける。
お店のなかで、出迎えたのはあの老婆。ではない。
「あら? あらあらあらら? これはまた小さな来店者ですこと……アルよ?」
小首を傾げながら、雑多な店内で問う女性が一人。両耳の上に、薄い亜麻色髪のお団子を作った、少しお腹の膨れている体型のひと。
「えぇっと、その、おはよう! 楊明々(ヨウ=メイメイ)さん!」
明るげに、答えてみる。いやにおっとりした雰囲気の女性に対して。
このジャンク屋の実質、次の店主。楊麗々(ヨウ=レイレイ)の孫娘。
その鷹容な雰囲気にどことなりとファンがいる看板娘。かつて、せのおごろーと呼ばれた娘婿をめとったその人。
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