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「一番のブラックだよ! いや、じゃなくて!」
「ワタクシ、ヨルが御社を希望した理由としましては」
「だからそうじゃねぇんだよ!!」
兄貴分の口調が出た。無意識だが、イライラにも限度があるとハチは知っている。
話を戻して。ハチはひときわ大きく深呼吸。
「今日はちょっと、車をかりにきまして。お仕事で使いたいもので」
「あらそう? でも此処まで来た乗り物があるのじゃないかしら? アルよ」
「そっちは街の出口にとめてあるんだ。おるす番のバイクもあるから、大丈夫です」
ハチはおずおずと告げる。何かのパーツ、大きな機械部品、見た目は完全にガラクタな良く分からないものまで、20畳程もない店内をところ狭しと埋め尽くす。
ハチには分からない、幾つかのカテゴリに別れて積まれた製品たちが通路を作り、歩き回るのは比較的楽だ。実際、ヨルはあちらこちらと店内を━━ずいぶんとキラキラした目付きで━━さ迷い歩いている。
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