第1章

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「あっ、ソ。じゃあとりあえず、その本題♪」 何もない部屋だからか、ネルは軽口と共にくるりと身を翻す。バレエみたいに優雅そうに、立ち上がって大きく回転。 何時か見たARパネルの広告より、よっぽど下手くそに。靴のまま部屋に上がるなと言ったのに、なに食わぬ顔でどやどや上がり込んだものだから、小娘の立てるステップがしっかり木霊する。 ミリタリーブーツに似た無骨な靴から、タタンッ、と。大きめな白衣がはためき、桃色ショートヘアが踊り、少女の矮躯が宙を舞って。 その後ろから、更なる女の子が出てきた時。 星純は本域でジャックを殴り飛ばした。 「ぶっ! ひいぃ~~…………」 「う、うわあああ! ジャッキー!!」 もうほとんど、頭を抱えたい状況だ。てか、内心は完璧に諦めている。 とうとう犯罪に走ったか。事の計画も実行も何もかも、プロデューサーはこのだぼつく白衣娘なのは確かだろうけど。 共犯の疑いはかけられるよな……ジャック………… 可哀想でしかない、と。もはや目も当てられない二人組(内とばっちり一名)が居間の端でオロオロしているのは、多分に憐れを煽る。 生憎と同情はしてやれないので、星純はポケットに入っている切り札を起動させた。とりあえずこれで御愁傷様な連中を尻目に、星純は現れた少女へ向き直る。 ーーとはいえ、改めて向き直る必要もないけれど。 「おい」 「……………………」 「なにやってんだ、エリス」 「………………………………」 類は友を呼ぶものか、どうか。いっぱしに反抗期でもキメてそうな小娘から、紹介されたのは幼女である。しかも知り合いの。 「オイコラ」とドスが渋めにきいた声と同期して、黄色い手掌でネルを捕獲。足止めを兼ねてーー勢いでぶっ飛ばしたのはご愛嬌ーー動けなくしたジャックに、心配して駆け寄る“フリ”だけの少女(外道)を、逃げられる前に確保。
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