第4章

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「泣いて謝るなら最初からやらなきゃいいのに~~」 「だあーー!? やめろよヨル! かわいそうだろ!?」 「う、うぅう~~ご、ごめんなさいにゃん、ハチ公くん」 「誰が忠犬だこのやろ……! あ、いや、だから泣くなよぉ……そんなこと思ってないって」 怒ったり叱ったり宥めすかしたり。やたら自分の仕事が多い気もするけど、本来のメインは別のところにある。こんな、あまりに自分勝手な女子達の相手ではなく。 ガガガ、ガリガリガリ。只今、目の前で絶賛稼働中の巨大機械がそれだ。大型トラックの躯体が、四つ足生やして大腕を振るう。 もう何世代も型が落ちた、しかし頑丈ゆえに未だ現役な複合油圧ショベル機。無骨なフォルムに油圧パイプまでむき出しで、けれど動作は滑らかに、三本爪で瓦礫の山に手をかける。 多くはコンクリート片だけれど、中には丈夫そうな鉄柱だったりがあって、それが以外に金になるのだ、なんて。ハチはかつての言葉を思い出しながら、操縦席から巨大腕を操作する。
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