第4章

17/85
前へ
/614ページ
次へ
改めて考えて、かなりどうしようもないやり取りなのだし。しかしそれは置いて、どうやらこの小道具の性能はかなり確かなようだ。 「ロンよりショーコだ。ちょっと意味はわかんないけど、ほら見てみ?」 ハチはフロントガラスの向こうを指差す。ミツが怪訝そうに見遣ると丁度、ヨルが懐から黒い棒切れを取り出した。 人の指よりも細い角柱が、10本少々。黙ったり怒鳴ったりしながらハチが拓いた瓦礫の道に、ヨルが盛大に黒棒を解き放つ。 すると、だ。棒切れは空中を二、三回転しながら、その形状をみるみる変化させる。 ある物はプロペラを生やし、更に高く空中を駆ける。ある物は自身の細身を幾つかの体節に分けて、手足を生やしながら地面を進んだ。 変化しないまま、ペン状の身体をころころ回転させている物もある。そうした多種多様な有り様に、ハチはかなりワクワクしてしまう。 「おお、すごい。聞いてたとおりだ」 『でしょでしょ~~♪ ヨル姉さんは嘘はつかないのさッ! 凄いって言ったら凄い! 出来るって言ったら出来る! そしてエロければエロいほど尚良し!!』 唐突な電子音声━━操縦席に備え付けの無線機だ━━に、ハチもミツも揃って驚く。うわ、とかえらく普通の返しをしたハチに対して、ミツは声もでないまま両目を開いている。
/614ページ

最初のコメントを投稿しよう!

51人が本棚に入れています
本棚に追加