第4章

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よっぽどびっくりしたのかな。ハチはそれらしい場面展開として、二回ほど咳払いする。 「とりあえず、意味がわかんないのはわかった。で! とにかく、さっさと仕事してこいよ。それでにーちゃんの居場所がわかるんだろ?」 『モチのロンのスケさ! 各追尾機のビーコンも検知器も全部モニターしてるし、この廃墟群はもはやヨルの手の内である♪ おや、早速反応が』 そうとだけ言い残して、ヨルは痛烈なダッシュをかまして瓦礫の奥に消えた。まだこちらが掘り返してもいないのに、〈機ウサギ〉みたいな速度で消えていく。 ちょっと待て、とも言えないまま。ハチは所在無く開いた口をそのまま、ため息にして返す。 息と一緒に出る感嘆詞、あぁもうと付け加えて、この状況に馴れ始めた自分も感じる。あのハチャメチャな感覚が浸透してきたのだろうか、ハチは考える。 しかし、似ていると感じるのは何故だろう。 その感覚に、あの人を感じるのは何故だろう。 「━━はっちゃん」 はたとして、気付く。肩に手を置かれていた。ミツであるのは分かっている。
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