第4章

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ミツは、そんなハチを少し見つめて、頭を抱えるのをやめた。項垂れ、俯いたまま考え、終わると同時に首を振る。 「……“外側”に居るべきひとじゃない。行ったことも見たことも無いけど、たぶん“内側”と関わり合いのあるひと……」 “内側”。その言葉は特別だ。ハチに分かっている範囲でも、異質な存在だと知っている。 “内側”から飛び出してきた人々は、一度だって中に帰る努力をしない。諦めているわけではなく、また意志がないわけでもない。 むしろ嬉々として、“外側”に残ろうとしている。あの龍二郎も、たぶん同じだ。 そして、兄貴分の言いぐさ。ハチは奥歯を噛み締めて、その時の言葉を思い出す。思い出して、考える。 ━━それじゃあ、ヨルは? 「それとね……」 ミツが続けた。 「たぶん…………あの人は“人間”じゃない」 言っている意味だけは分かった。分かったが、納得できるような内容ではない。 「どういう━━」
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