第4章

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 スケッチブックは言って、ヤヨイの手から離れる。すると瞬間、平たい画材は、ひとりでに、くるりと身を翻し。  ーー着地。テーブルの上に乗る時点で、基本が平面の冊子は一羽の小鳥となる。  『では改めて自己紹介ダ! アタイの名はヤヨイ=ノワール!! 良いかよく覚えておきたまえ! ちなみに、アタイを呼ぶときはキチンと「ヤヨイちゃん♪」か「ノワール様!」と呼ぶことッ!!』  「そうですか。では使い魔さん」  『ガン無視ィィィイイイ!!』  羽をバサバサ、身体をくるくる。なにか酷いクスリでも決めてるみたいな動きの、〈機オウム〉くらいのサイズ感。  似たようなのは前にも見た。病院、もとい療術院の廊下で、張り出した止まり木で休んでいる様子の輝く鳥や猫やら。  病室の中にも居たっけ、監視役として。けれどこんなに、滅多やたらと騒がしい覚えはない。  「なにこれ、バグってんの?」  『えへへ、それほどでも~~♪』  「うん。褒めてないよ」  「えっ、褒めてないんですか……?」  「…………」  まぁ、ともかく。  とっとと本題に入ってもらいたい。そんな無言の星純の圧力を、リリーは肩をすくめていなし。  「まぁ、早い話ですね。今回の目的は、別クラスの方との交流を兼ねた課題の取り組み、とでも言いますか」 」  「ーー使い魔の使役とその契約について、だろ?」  ようやく回復したのか、レオンが鼻っ面を押さえながら戦線に復帰する。必然的に鼻声で、両目は未だ涙ぐましく潤んでいるけど。
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