第4章

33/85
前へ
/614ページ
次へ
 「このやろ外れろォオオオオオ!!」  『いやなこったウォオオオオオオ!!!』  「見ていろよ!!」  「……キミ達、流石にうるさい」  こちらのハイテンションなど素知らぬ顔で、真後ろから声がした。聞いたことのある声音の、聞いた覚えのある冷淡。  首だけ振り向くと、予想通りの人物がいる。褐色の肌に、深い紺色のショートカットとマフラー。  「なんだ、サシャちゃんか」  「ちゃんじゃない」  バチり。憮然とした態度で、憮然としたまま右手を伸ばしたサシャは、その指先から火花を走らせる。  瞬間的で、小さい閃光。静電気の類いなのは見てとれたけど、それはまっすぐ星純の鼻先へ激突する。  怨念を丁寧に込めたデコピンを、真芯でくらった気分。字面にすればなにか穏やかな響きさえ感じるけれど、結果は悶絶だ。  星純は声も出さずーー声も出せず、もんどりうつ。  
/614ページ

最初のコメントを投稿しよう!

51人が本棚に入れています
本棚に追加