第4章

35/85
前へ
/614ページ
次へ
 「あぁ、そう……」  諦めたように、サシャは首を緩く振った。現況がどういうものなのか見ていただろうし、聞いてもいただろうから特にコメントもない様子。  むしろレオン達の方が混乱しているに違いない。いきなり現れた女の子が、自分達を見ながらため息をついている。あからさまに喧嘩腰の白い鳥は、その様子で既に飛びかかろうとしていた。  ヤヨイがすぐに押さえたけれど。サシャは渋い表情で、眉間にシワを寄せながらテーブルに一冊に本を置いた。  「ーーとりあえずこれ。使い魔契約とその内容、使い魔の素体について触れられている。予習復習については、これ一冊で大丈夫」  「個人的に、おれはもう少し立ち入ったことを聞いておきたいんだけども。その使い魔の成り立ちとか、どうやって出来上がるのかとか」  「使い魔っていうのは、いわゆる精霊などに見られる〈PhaZ 〉を主体にした意識の存在を指す場合が多い。けれど精霊ほどに高次元の存在ではないから、自分の〈PhaZ〉を媒介したり特定の供物を捧げたりして手軽に個人と契約を結べるの。その弊害として、彼等の有り様が系統立てて説明されているわけでもないけど」
/614ページ

最初のコメントを投稿しよう!

51人が本棚に入れています
本棚に追加